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フローサイトメーターSpace導入事例インタビュー【関内どうぶつクリニック様】

日本の優秀な若い獣医師と獣医療を世界に向けて

Q まずは関内どうぶつクリニック様の開業の経緯、特徴について教えて下さい。
15年前は獣医師になったら開業する流れが当たり前の時代でした。東京都の病院で数年間の勤務医生活を経て開業することを決めました。その際にいろいろ考え、誰も知り合いのいないところで自分を試したかったので、1度しか来たことのない“横浜”を選びました。しかも誰が聞いても横浜と納得してもらえる中心地で。開業してからはたくさんの経験をしてきましたが開業してすぐは他の病院では断られていた手術を、リスクを負いながら受けていました。もともと僕は内科医ではなくて外科医で、その中でも軟部外科を得意としていましたのでそういう形で地域の獣医療に貢献してきたと思います。
関内どうぶつクリニック開業して5年が経った頃から状況が徐々に変わってきました。ひとつは獣医医療も専門的な医療を受けられるようになってきました。神奈川はその点非常に恵まれた土地で利用できる大学病院が5つあります。それだけではなく県内に“日本動物高度医療センターJARMeC川崎”(※1)ができたことにより専門医療という概念が浸透し一次医療と二次医療のすみわけが明確になってきました。これは獣医療全体にとっても、飼い主にとっても大きく利益のあることです。しかし私たちのような中規模の医療施設はソフト面でもハード面でも今までのような手術を請け負うことは難しくなります。

獣医師は飼い主に治療の選択肢を示す義務があります。難しい手術を僕がやるのか?大学病院でやるのか?または高度医療センターに行くのか?それをきちんと伝える義務があるのです。当然、この周辺の住民の方々は高度動物医療を選ぶようになり、病院の経営や自分の要求のみでそれを請け負うことはデメリットでしかないということを少しずつ感じるようになってきました。私たちの施設が地域にとって存在意義を持ち続けるためにどうすればよいのか?そこで僕は大好きだった外科と手術を捨て、内科医として生きていくことにしました。
それは僕が5年前に行った大きな決断です。ただ今までの外科が強い病院という看板を捨てることは大きな問題が生まれることが分かっていました。それは優秀な獣医師の採用が難しくなることです。我々の年代は外科が花形で、僕を含め沢山の人が外科をやりたくて獣医になっています。当然外科が得意な病院に優秀な獣医師が集まる傾向がありました。難しい手術を行うことが少なくなると獣医師から見た病院の魅力が少なくなると考えていました。ではどうすればよいのか?
牛草先生飼い主さんから見ればもちろんですが、獣医師からみて魅力的な病院づくりを考えなくてはなりません。それも内科を主体として。内科の中で一番難しくハードルが高いと考えたのは免疫疾患と考えました。実際人間でも動物でも「アレルギー」や「炎症性腸疾患症候群」などの免疫疾患は急速に増えていったころでした。その当時免疫は最も苦手で避けてきたものだっただけに、ちゃんと免疫の勉強をしないといけないと思い、大阪府立大学の大学院に通い勉強を始めました。牛草先生
今は論文や学会で発表を行うだけではなく、R&Dができる動物病院を作りたいと思っています。このクリニックは“何か新しいものを作りだしている獣医さんがいる”というのは獣医師にとっても飼い主にとっても魅力的なのではないかと思っています。優秀な獣医師を集められれば高い診療のクオリティーは保つことができます。そしてこのような取り組みを行っていった結果、とってもうれしいことが!昨年、関内どうぶつクリニックという名前で科研費が通りました。恐らく動物病院の名前で科研費が通った例は他にはないと思います。
(※1)患者動物に対して、高度医療(二次診療)サービスを提供する。かかりつけ病院(一次診療)で対処が困難な時重度患者に対して、CT、MRI、放射線治療器、PET=CTといった高度医療機器を用い、専門疾患に関する研究・臨床を行ってきた専門領域を志す獣医師が中心となって、検査・治療を行っている。

Q 日本獣医再生医療学会でもご活躍されておりますがこの学会はどのような学会かをお聞かせください。
日本獣医再生医療学会は臨床医が主体となった集まりです。しかし本来学会はリサーチと臨床をつなぐ場所でなければいけないと思っています。この学会ではいずれ今まであまり行われてこなかった臨床で起きた事象を、アカデミアと一緒にリサーチし、臨床にフィードバックして飼い主さん、動物たちが幸せになれるような獣医療を作る、そういう学会になってくれればと思っています。
またほかの獣医師の学会は成熟化して若い獣医師が発表をしたり、主体となって活躍しづらくなってきました。日本獣医再生医療学会はまだ若い学会ですので様々な新しい取り組みを行っていき若い獣医師たちが活躍できる学会になってほしいと考えています。
牛草先生若い先生たちは受け身の姿勢を捨て、能動的に自ら情報を取りにいき、自分自身で考えて欲しいのです。それは自己に様々な考えや事象を受け入れることができる多様性のある獣医師を作ることになると考えています。そして何かを自分のモノにしたら世界に羽ばたいて欲しいと思います。言語の障壁があったとしても、パッションを持って自分がやっていることを堂々と自らの言葉で伝えてきて欲しいのです。
【日本獣医再生医療学会ホームページ】http://jvrm.jp/

Q 現在の研究内容を教えて下さい
関内どうぶつクリニックでは獣医全員がそれぞれのテーマを持って診療と並行して研究活動もおこなっています。
矢中先生矢中先生はシスメックスのフローサイトメーターを使い免疫疾患の研究をしています。とても難しい研究ですが、自分で考え、文献を引き日々努力し、まだ獣医師になって一年目ではありますが昨年の日本獣医再生医療学会のシスメックスのランチョンセミナーにおいて研究発表も行いました。

田中先生は今までは犬の症例だけしか確認されていなかった“ライソゾーム蓄積病”(※2)の猫のコロニー(家族)を発見しました。

全ての症例の診断治療を行いながらリサーチを行い、シークエンサーで、遺伝子変異の部位を特定し、発症例と症状のないキャリアとの比較を行い、猫での新しい知見をまとめました。その線維芽細胞を保存しいずれiPS細胞として、疾患モデル細胞を作ることができればと考えています。
また、心臓病の処方食の研究をペットフードの会社と共同研究をしています。これらはすべて臨床の現場からでてきたものなので、できるだけ早く患者さんに還元したいと考えています。
(※2)細胞内にある小器官の一つであるライソゾーム (lysosome)に関連した酵素が欠損しているために、分解されるべき物質が老廃物として体内に蓄積してしまう先天代謝異常疾患の総称である。

Q なぜシスメックスの“フローサイトメーター Space”をお選びいただいたのでしょうか?
数年前僕が免疫を勉強し始めたときにフローサイトメーターは欲しいと思っていました。でも当時はあまりにも高価で買えなかったし、購入したとしてもCTやMRみたいにそれが何か診療に直接役立つものでもありませんでした。
数年前リンパ腫という血液の成分の一つの腫瘍を患った猫の細胞を客観的に定量的に見るためにフローサイトメーターを使いたい、さらにそれを用いて学会発表や論文発表したいと考えました。そこで外注検査を受けてくれる会社に細胞を送ったのですが、輸送に時間がかかり有意な結果が出なかったということがありました。そのことがすごく悔しくて、輸送にかかるタイムラグが無ければ、もしも自分のクリニックにフローサイトメーターがあれば、正しいデータが取れていたのにと思っていました。
牛草先生そして一昨年、希望に沿う装置がシスメックスから販売されると聞き、それが京都の日本免疫学会ではじめて実物展示されるということで、即座に京都に向かいました。そこで技術営業のかたに詳しくお話を伺い、その場で購入を決めました。現在このクラスの汎用フローサイトメーターを備えている動物病院は当院が日本で唯一であると思います。

先述したように“フローサイトメーター Space”は大学を除いた獣医療の中では特に異質であり、新しすぎるものなので、ただ闇雲に動かしても何も結果は出てこないただの大きな箱です。

導入後間もないことで使い慣れていないことが多くあり、シスメックスの神戸に行きトレーニングにも参加させてもらいました。今でも疑問に思うことなどを相談すると、シスメックスのアプリケーション担当の方々が電話、メール、訪問にて対応してくれています。とても助かっています。そして現在は獣医療における新しいアプリケーションの開発を見据えた共同研究もしています。

Q これからの関内どうぶつクリックや、先生方のご研究の展望、また夢などについてお話いただけますでしょうか?
牛草先生ひとつは、世界の人たちがもう一度日本の獣医療を見て欲しいということです。日本の獣医師の技術レベルはとても高いのですが、英語を用いたアウトプットは総じて日本の獣医師は苦手で、いいものを伝えることができていない。これではいいものを持っているにもかかわらず世界からはおいていかれていくという事態を招きかねません。若い先生方には目の前の狭い世界だけをみていろんなことを考えるのではなく、広い視野を持って世界を見て、勉強し自分の持っているもので堂々と世界と渡り合えるようになって欲しいのです。牛草先生
もうひとつは女性の獣医師についてです。
獣医師になりたいと思う女性は年々増加しており、現在獣医大学の定員のうち半分は女性です。伴侶動物獣医臨床にも同様に多くの女性獣医師が進出しています。押しなべて女性獣医師は優秀でモティベーションも非常に高いと思います。
しかし現状は女性獣医師が、臨床の最前線で一生涯尽くせる場を十分に用意できているとは言えません。動物の病気を治したい、動物を飼っている飼い主さんを幸せにしたいと夢を持ち、苦労して勉強してきたのにそれを一生涯の仕事にできる場所がないことです。これをいまから獣医師という職業を夢見て希望に燃えている子供たちに提供する義務が僕たちの世代にはあると考えています。これは必ずしも獣医師という職業の問題だけではないと思いますが我々の現場はこの観点が極端に遅れていると思います。

Q 最後に先生にとっての獣医療とは?
伴侶動物医療を生業としている獣医師の倫理観に定義付けをしないといけないと思っています。獣医師の職域というのは非常に広く我々のような伴侶動物を診るという仕事だけではなく牛や馬、鶏、魚などの産業動物を診る仕事や、公務員となって食品の安全や、国際防疫などを仕事にしている人たちもいます。獣医師免許という国家資格は人間の安全を守るということが最も大きな存在根拠です。つまり獣医師の職業倫理というのは人の安全を守り、人を幸せにするというのが一番根底に流れる職業倫理であると考えています。それを踏まえて考えたとき、どの分野においても獣医師の一番大切な仕事は“診断”だと思っています。これを誤れば伴侶動物医療では飼い主の幸せを獣医師が奪い、産業動物の世界では国家的規模の大きな経済的損失を生み出し、防疫業務では国民全体を大きな危険にさらすことになります。
ですから僕らのクリニックに来る伴侶動物に対して私達獣医師は、可能な限り正確な診断をし、その予後判断をします。治療をした方がいいのか、時間をかけた方がいいのか、この子にかわいそうな思いをさせてまで長生きさせるのか、それを飼い主が判断するのに最も大きな要素が“診断”です。我々獣医師は常に職業倫理を考えながら、その信念を持って“正しい診断”ができるよう努めていかなければならないと考えています。
牛草先生、矢中先生

関内どうぶつクリニック様 プロフィール

院長 牛草 貴博 牛草先生、矢中先生
開院 平成16年4月
現住所 〒231-0023 神奈川県横浜市中区吉田町6-3
ホームページ http://yokohama-kac.com/
電話番号 045-243-6417(ご予約もこちらから)
医療理念 「動物に一番優しい医療の追求」

病気を患った動物たちに、更に追い打ちをかけるような辛い治療を課していないのか?
医療に携わる我々は、現在の治療に本当に後ろめたさはないのか、満足しているのか?
院長文献 独立行政法人科学技術振興機構 科学技術総合リンクセンター
(“牛草貴博”で検索してください)

院長 牛草 貴博
開院 平成16年4月
現住所 〒231-0023 神奈川県横浜市中区吉田町6-3
ホームページ http://yokohama-kac.com/
電話番号 045-243-6417(ご予約もこちらから)
医療理念 「動物に一番優しい医療の追求」

病気を患った動物たちに、更に追い打ちをかけるような辛い治療を課していないのか?
医療に携わる我々は、現在の治療に本当に後ろめたさはないのか、満足しているのか?
院長文献 独立行政法人科学技術振興機構 科学技術総合リンクセンター
(“牛草貴博”で検索してください)
牛草先生、矢中先生

インタビューを終えて

日々の獣医師としてのお仕事と、牛草先生や各先生方の研究活動の非常にご多忙の中インタビューにご快諾いただき誠にありがとうございました。

なぜ動物クリニックでフローサイトメーターをご使用なのか?最初は不思議に思っておりましたが、牛草先生のライフワーク、未来への希望などをお聞きして納得いたしました。牛草先生が燃えるようなパッションをお持ちであること、そんな先生にご指導いただいている方々はとても幸せな環境にいらっしゃると感じました。

動物たちへの獣医師としての愛情と強い信念をお持ちであること、その先にある動物医療の研究、さらには女性の職場環境問題改善と確保に尽力されるなど、幅の広い活動と強い信念に始終感銘いたしました。

いろいろなところに可能性はある。

動物の世界でも、人間の世界でも日々精進し研究や開発をする前向きな気持ちを大切にしている皆様方の研究のお手伝いのお力になることができればと身が引き締まる思いでした。

シスメックス担当者


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