Sylphは、ボールSAWセンサを利用してJAXAとの共同研究により誕生しました。有人宇宙環境モニタリングのために開発されたSylphは、軽量でコンパクトなガスクロマトグラフ。地上用途においても、これまで困難だった現場での測定を迅速化します。食品・飲料の品質管理や環境モニタリング、さらには呼気や腸内ガス分析による病気の早期発見など、幅広い分野で活用いただけます。
ボールSAWセンサの原理
球状圧電体の表面に設置した櫛型電極(IDT)に高周波信号を印加することで、弾性表面波(SAW)が励振されます。通常、波は伝搬するにつれ回折現象で発散してエネルギーを失ってしまいますが、球の表面では幾何学的に波を集束させる作用もあります。発散と集束のバランスを保つように理論的に設計されたIDTから励振されたSAWは、球の表面を無回折で多重周回します。SAWの伝搬経路上に成膜した感応膜にガス分子が吸着すると、SAWの伝搬時間や信号強度が変化し、その変化は周回数とともに拡大するため高感度にガスを検出できます。ボールSAWセンサは直径3.3 mmの水晶球を用いているため小型であり、室温で動作するため省電力です。
仕様
本体 | 型式 | SY-402 |
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サイズ | 幅133 mm×高さ88 mm×奥行174 mm(突起部は含まず) | |
重量 | 2 kg | |
所要電源 | DC24 V (ポート5.5×2.1 mm) ※ACアダプタ100~240 VAC、50/60 Hz付 | |
制御 | 立上げ時間 | 起動操作から約10分(濃縮器ベーキングを含む) |
立下げ時間 | 停止操作から約5分 | |
キャリアガス | ガス種 | 水素 ※1 |
流量 | 1 ml/分 | |
供給方式 | 水素吸蔵合金キャニスター | |
容量 | 10 L | |
濃縮器 | 吸着剤 | Tenax®TA、Tenax TA+Carboxen®1000から選択 |
クリーニング | 起動時および測定後自動クリーニング | |
カラム | 固定相 | 極性、中極性、微極性、無極性タイプから選択 |
温度範囲 | 40 ℃~200 ℃ | |
昇温速度 | 最大20 ℃/分、プログラム可能 | |
クリーニング | バックフラッシュ機能付き | |
検出器 | センサ | ボールSAWセンサ |
※1 シリンダアダプタ(オプション)にてキャリアガスの変更可能。
※本製品は医療機器ではありませんので、診断に用いることはできません。
※Sylphはボールウェーブ株式会社の開発・製造の商品です。